班長 朴 沙羅
冷戦後の世界における世界的な価値観の動揺が、人文・社会科学の研究者から指摘されるようになって久しい。近年の「先進国」における経済成長の停滞と貧困問題は左右のポピュリズムを生み、それらは反権威・反エスタブリッシュメントとして、今や政治的・社会的に主流となった多様性の寛容を攻撃している。しかし「かつての価値観」や対抗文化の動揺がしばしば指摘されるのに比べて、実際のところそれらは何であったのかについて具体的な研究は多くない。本研究は、西部講堂という自主管理空間に関わった人々の回想を通じて<ポスト68年>の中で再生産されてきた価値観の内実を明らかにすることを試みる。こうした空間は「広い意味での5月の運動やその伝播の中で示された価値転換」(宮島喬「新しい社会運動とポスト68年の社会学」p.178)の産物である。地域社会において、またそこに関わった個々人の歴史においてこうした空間は一体何であるのか、それは価値観の動揺が指摘される現代社会において何を教えるのかを明らかにする。
研究期間:2020年4月~2021年3月
氏名 | 所属 |
安岡 健一 | 大阪大学 |
伊藤 存 | 京都市立芸術大学 |
氏名 | 所属 |
田所 大輔 | 人間・環境学研究科 |
氏名 | 所属 |
福家 崇洋 | 副班長 |