絵画修復への寄付

東日本大震災への対応

「花よ、ふたたび」 募金 御寄付への御礼

人文科学研究所では、さる3月より小倉遊亀作品《花 其二》の再生に向けて「花よ、ふたたび」募金を開始しました。
その後、多くの心ある皆様の深い御理解と温かい御支援を賜り、9月30日の締め切り時点で、53名の方々より総額1,665,000円余りの御寄附を頂戴致しました。
ここに、皆様方の御芳志に対しまして、衷心より厚く御礼を申し上げます。
皆様、本当に有り難うございました。

賜りました御厚志に、京都大学本部予算(総長裁量経費)および財団法人・人文協会からの補助による計1,661,000円余りを加え、総額3,326,000円余りの修復・額装および関連費用に、全額を充当いたしました。

その結果、経年による劣化損傷のため展示がきわめて難しかった《花 其二》は、適切な処置により一般公開が可能な状態となり、現在、滋賀県立近代美術館にて開催されております展覧会「遊亀と靫彦―師からのたまもの・受け継がれた美―」において、晴れて80年ぶりに公開されております(会期は11月24日まで)。
みごとに蘇りました《花 其二》を、滋賀県立近代美術館にて御鑑賞戴ければ幸いです。

これもひとえに、皆様の温かい御支援によりまして、修復・額装費用を賄うことができたためにほかなりません。ここに、改めて心より感謝申し上げます。

以上、甚だ簡単ではございますが、募金につきまして御報告を申し上げ、御礼の言葉に代えさせて戴きます。


平成26年10月

京都大学人文科学研究所
所長 山室信一
滋賀県立近代美術館
館長 秋山茂樹

「花よ、ふたたび」 募金趣意書

~小倉遊亀作品《花 其二》の再生に向けて~

京都大学人文科学研究所
所長 山室信一
滋賀県立近代美術館        
館長 秋山茂樹


募金の趣旨

滋賀県大津市に生まれ、女性として初めて日本美術院同人となった日本画家、小倉遊亀(1895-2000)。その戦前期の静物画を代表する《花 其二》は、紫陽花、百合、撫子、桔梗などが今しがた摘み取られたかのように無造作に重ねて置かれ、みずみずしい植物の生命感が伝わってくる作品です。昭和9年(1934)の再興院展に出品されてのち長い間その所在が未確認でしたが、近年の調査により京都大学人文科学研究所に所蔵されていることがわかりました。

しかしながら作品は経年による劣化損傷が著しく、現在の状態のままでの展示はできません。適切な修復・額装により本来の美しい絵柄と色彩をよみがえらせることは作品保存のために急務であり、その後はじめて一般への公開も可能となります。

平成26年秋には小倉遊亀生誕120年を記念し、滋賀県立近代美術館において師の安田靫彦との回顧展の開催が決定しています(他2館に巡回予定)。本作品修復が完成したあかつきには、同展覧会での80年ぶりの公開がかなうこととなります。
そのため、「小倉遊亀《花 其二》再生募金」(略称「花よ、ふたたび募金」)を創設し、広く各界の皆様のご支援をお願い致したいと切望する次第です。

《花 其二》は、明治維新以来新たな伝統を創造し、清新な境地を開いた近代日本画の流れを受け継ぐ作品です。そこに息づいているのは平安から江戸期まで続いてきた、自然を愛で、自然と一体となることによろこびを見出す日本人の美意識にほかなりません。
その意味でこの作品は、小倉遊亀という画家を生み育てた滋賀県、奈良県、そして作品を所蔵する大学や美術館にとってのみならず、日本にとっての貴重な国民的財産であるといえるでしょう。

ここに有志の皆様のご理解とご支援を、心よりお願い申し上げます。

資金用途

小倉遊亀《花 其二》の修復・額装費用
(総額:約280万円)