このたび、京都大学人文科学研究所では、中川久定 京都大学名誉教授(日本学士院会員)から個人蔵書の寄贈を受け、人文研図書室に「中川文庫」を開設いたしました。18世紀フランス文学・思想および比較文学・比較思想関連の原典と研究書を中心に、寄贈図書の総数はおよそ5500点に及びます。そのうち、18世紀ヨーロッパの刊行書籍をはじめとする貴重書約1200点、および和書約1100点に関しては、すでに京都大学蔵書としての登録を終え、本学の研究者・学生のみならず、研究者コミュニティに利用可能なかたちで広く公開されています。
この「中川文庫」開設を記念して、人文科学研究所では、日本18世紀学会との共催で、来たる11月12日、「東アジアで18世紀研究者であること——Hisayasu Nakagawa, L’Esprit des Lumières en France et au Japonをめぐって」と題した国際ワークショップを開催いたします。中川先生が昨年刊行された浩瀚な論文集L’Esprit des Lumières en France et au Japon(「フランスと日本における啓蒙の精神」)の合評会の体裁を借り、日本と韓国の後進の18世紀研究者、フランス文学研究者が集い、ディドロをはじめとするフランス啓蒙研究、および比較文学・思想研究を長年リードされてきた中川先生の業績を手がかりに、東アジアにおける18世紀研究・ヨーロッパ文化研究の現在と行く末を議論する機会にしたいと考えています。18世紀研究・フランス文学研究に関心のある方はもとより、広く一般から多くの方々の御参加をいただければ幸いです。