■ 学位 修士[人間・環境学](京都大学) ■ 専門分野 フランス文学 ■ 研究テーマ 近代フランス文学・芸術における「遊戯」 jeu の再検討 |
遊戯 jeu とはしばしば、日常から切り離された営み、仮初めのフィクションであると語られる。しかし、その基盤となる「日常」や「事実」「現実」に対する認識のあり方が、技術革新や社会の動乱によって大きく揺らいだ近代フランスにおいて、作家や芸術家は「遊ぶ」ことにより、社会に対していかなる申し立てを行おうとしたのだろうか。
本研究では、理論・実践の両面において「遊戯」を戦略的に用い、運動を展開させていったシュルレアリスムの営為を手がかりとして、近代フランスの文学・芸術における遊戯の再検討を行う。個別の作品に現れる遊戯性の分析に終始することなく、作家が身を置いた社会の変容を具に検討し、彼らに通底する意識を浮き彫りにしながら、近代における遊戯について総体的な見取り図を提示したい。