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■ 学位 Ph.D.(カリフォルニア大学) ■専門分野 歴史社会学 ■研究テーマ 〈非人間〉の歴史と記憶の存在論 |
記憶は主体の統治下にはなく、主体に成り代わって過去を証言することもある。
この「記憶の存在論」とでもいうべき課題はトラウマ記憶論として主題化され、沈黙や秘密として歴史の底に沈殿する出来事を歴史に登録する手がかりとなってきた。主体の境界線を開き、他者の記憶の分有可能性を探求してきたトラウマ記憶論の洞察を念頭に置きつつも、そこに内在する西欧中心主義を脱植民地化する試みに呼応しながら、ホロコーストや原爆などの破滅的出来事だけでなく、奴隷制、植民地主義、レイシズムやセクシズムなど、日常的に行使される暴力によって非人間化(dehumanize)されてきた者たちの歴史を、記憶の存在論を通して記述する方法論を探求したい。