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19世紀中葉から20世紀前半にかけて、華南沿海、あるいは中国において社会・経済を規定してきた慣習・規範・常識といった「制度」は様々な衝撃を受けて変容を迫られた。本研究は、衝撃のなかで浮かび上がってくる既存の制度をとらえるとともに、近代における変動の中で制度がいかに変化し、また変化しなかったか明らかにすることを目的とする。そしてかかる制度を中国の他の地域や中国以外の地域と比較し、華南ないし中国の社会・経済制度の特性および他地域との共通点を考察していきたい。具体的には、廈門・汕頭・広州などの華南の港市・開港場における取引制度、開港場とその周辺における官僚と商人・商人集団の関係、開港場・香港から東南アジアに広がる移民とその制度、外国籍華人の行動などを検討することによって、制度とその変容の解明を目指していく。