■ 学位 博士[社会学](一橋大学) ■専門分野 イギリス・アイルランド近現代史 ■研究テーマ 第一次大戦期のアイルランド問題 |
1886-1905年の時期はイギリス政治史上でも稀に見る「保守党支配の時代」であり、それを草の根レヴェルで支える役割を担った政治団体が1883年に結成されたプリムローズ・リーグであった。「保守党支配の時代」は選挙制度をめぐる重要な諸改革が実施され、「政治的民主化」が大きく進展した直後に到来しているのであって、プリムローズ・リーグが組織・動員したポピュラー・コンサヴァティズムを考慮に入れずして理解することはできない。新たに有権者となった労働者・民衆、あるいは依然として選挙権をもたない女性たちの日常生活に深く浸透したプリムローズ・リーグは、いかにしてポピュラー・コンサヴァティズムを涵養していったのだろうか? また、「保守党支配の時代」の最大の政治問題であったアイルランド自治問題は、ポピュラー・コンサヴァティズムの伸張に対していかなる作用を及ぼしたのだろうか? プリムローズ・リーグという場で展開されたアソシエイショナルライフに焦点を合わせながら、現在に至るまで重要な政治的潮流でありつづけているポピュラー・コンサヴァティズムの生成メカニズムを解明することが当面の研究課題である。