■ 学位 |
「戦前の皇室はなぜ土地をもっていたのか」。本研究は、この素朴な問いを出発点に、戦前日本の皇室が所有していた御料地を歴史的に検討することを通じて、君主が社会的に受容されてゆく過程を政策努力の側面から解明するものである。具体的には、戦前日本の皇室の特徴でもある、収益を目的として生産活動を行う御料地を対象に、それらがなぜ皇室に必要とされたのかを同時代の御料地運営当局者らの言説や行動をもとに分析する。当面の課題は、明治期を対象に、伊勢・宮崎といった日本神話とゆかりの深い地域に設定された御料林や、現在にもその形態を残す御料牧場などを素材として、皇室経済と国内産業、国民生活、イデオロギー政策などとの関連を視野に入れながら上記の問いへの答えを探していく。