■ 学位 |
本研究は版本大蔵経や正史などの伝世文献以外に、当該時代の造像記や碑文などの石刻、敦煌や日本の寺院の古写本等を用い、宗派別の仏教教学史や王朝の仏教政策史ではない仏教史の構築を試みるものである。具体的には、石刻資料の有する地域性という特徴を生かし、長安・洛陽などの中央の仏教と地方の仏教との関係に重点を置き、主要寺院を拠点とした僧侶たちの思想的立場や、僧侶たちと中央・地方を代表する在俗の人物との人的ネットワークを研究する。特に寺院などで行われる経典の講義,懺悔などの儀礼、造像などの実践活動はネットワーク構築の場となっており、そうした場において表される思想や人的ネットワークについて、戒律・禅定・智慧という三学のバランスを考慮しつつ検討する。