■ 学位 |
アドルノ(Theodor W. Adorno)の思想的核心である「人間性(Humanität)」の位置づけを明確なものとするために、彼の歴史的パースペクティブの再構築を目的として、『啓蒙の弁証法』(1947)、『否定弁証法』(1966)等の彼の理論的著作についての理解を背景としながら、その唯一の文学論集である『文学ノート』(1958, 1961, 1965, 1974)に焦点を当て、そこに収録されている諸篇の読解を通じて、18世紀(啓蒙主義)から19世紀(ロマン派)、20世紀(カフカ、シュルレアリスム、ベケット等)に至るまでのヨーロッパの文学作品に再検討を加え、そこで取り上げられている作家へと向けられるアドルノの眼差しのうちに、彼の時代認識を確定することを試みる。