人文科学研究所の個人研究と共同研究の成果は、多くの新知見に満ちた著作として公刊され、人文学の発展と普及に貢献している。共同研究班による成果は、論集としてまとめられることが多いのに対し、個人研究の成果は、単刊の学術書のほか、個別のテーマをさらに掘り下げ、一般読者向けにわかりやすく解説した書物として刊行されるものも少なくない。どちらも新たに拓かれた知の地平を社会に還元し、共有して行くうえで、重要な役割を担っている。
『近代京都と文化 —「伝統」の再構築』
高木 博志(編) 本書は2017年度から21年度にわたる[京都大学人文科学研究所「近代京都と文化」研究班]の共同研究報告書である。
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『人種主義と反人種主義〜越境と転換』
竹沢泰子×ジャン=フレデリック・ショブ(編) 本書は、人文科学研究所とフランス国立社会科学高等研究院の学術交流提携による共同研究の成果の一部である。日本側5名とフランス側5名がそれぞれペアを組み、I.前近代と近代の連続性/不連続性、II. 統治と学知。III. 分類する法、 IV反人種主義の葛藤と展開、V. 遺伝的祖先と人種の解体/再生 の5部10章と序論で構成されている。加えて、5つの各部の後には、執筆者2名とコメンテーター2名、司会による座談会の記録も掲載されている。
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『チベットの歴史と社会』 [上]歴史篇・宗教篇 / [下]社会篇・言語篇 著者:岩尾一史・池田 巧(編) 歴史学、宗教学、言語学、人類学など各分野の専門家が集結し、最近のチベット研究の成果をふんだんに盛り込んだ、日本のチベット学の現在を知るための書。本書は既に存在する解説書とは一線を画し、平易な概説と専門的な論文との間の架け橋となる。
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『百花繚乱 ひょうごの多文化共生150年のあゆみ』
竹沢泰子・樋口大祐・兵庫県国際交流協会・編 本書は、1868年の神戸開港以来、海外文化・経済を受け入れ発展してきた兵庫県の多文化共生の150年の歴史を再検証したものである。
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『Kyoto’s Renaissance – Ancient Capital for Modern Japan』
Edited by John Breen, Maruyama Hiroshi, Takagi Hiroshi Drawing on a significant archive of primary sources and critical writings, Kyoto’s Renaissance is the first volume in English to take an in-depth look at Kyoto’s modern transformation – how it came to reinvent itself after its ‘collapse’ at the time of the Meiji Restoration of 1868 and relocation of the imperial court to Tokyo. Following a contextualised introduction, which also includes a scholarly appraisal of recent and contemporary studies on the city – in both English and Japanese – nine chapters focus on the most notable historical elements that sustain Kyoto as a quintessentially modern ‘ancient capital’ today. The topics examined are the Emperor System, Festivals and Pageants, Buddhism, the Reorganization of Urban Space, Celebrating Heian, Kyoto’s Forest Policy, Industrialization, Nihonga and trends in Modern Pottery. Kyoto’s Renaissance represents current Japanese scholarship at its best and will be welcomed both as an informed reference book on today’s city and as a benchmark reference for further wide-ranging research.
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『環太平洋地域の移動と人種』
田辺 明生・竹沢 泰子・成田 龍一 編 西欧の帝国主義・国民国家は肌の色など身体的特徴を「人種」としてカテゴリー化した。しかし今やさらに先鋭化した人種化が席捲している。文化や生活習慣など見えない差異で線をひく厄介な人種化は、人が複雑に移動し交錯してきた「環太平洋型」といえる。本書は環太平洋型の人種化の史的起源と現状を示し、さらに芸術や対話の場を通してオルタナティブなグローバル化の道を探る。
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『近代天皇制と社会』
高木 博志(編) 今日、もっとも高い支持率を得る象徴天皇制が現れるにいたったのはなぜか。それを解明したいとの問題意識から、明治維新から近現代へと形成・展開してきた天皇制と、それを支えてきた「社会」の秘密に迫りたい。社会における受容のありよう、権威を高めていった顕彰という行為の具体的検証を通して、天皇不在の社会へ天皇制が浸透していく過程を描き出す。また史実と神話を峻別する歴史学の役割を説く。15本の論文からなる共同研究班「近代天皇制と社会」(2012~2016年)の報告書。
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『赤い星は如何にして昇ったか 知られざる毛沢東の初期イメージ』 京大人文研東方学叢書 2 石川 禎浩(著) その名は轟けども姿の見えない毛沢東――政府官報に掲載された太っちょ毛沢東はいったい何者なのか。傑作ルポルタージュ『中国の赤い星』によって毛の素顔が明らかになるまで、偉大なる革命家は世界で如何なるイメージをもたれていたのか。世界中に散らばった毛沢東像の断片を 拾い集め、本場中国の人びとも―あるいは毛本人すら―知らない、若き日の毛のイメージを浮か び上がらせる。『中国の赤い星』によって覆されるそのイメージとともに、同書が「名著」の高みへと昇る過程を描く。
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『韓国の世界遺産 宗廟 王位の正統性をめぐる歴史』 京大人文研東方学叢書 1 矢木 毅(著) 1995年、優れた歴史性と独特の建築様式からユネスコ世界文化遺産に登録された韓国の宗廟。 宗廟とは、歴代の王および王妃の位牌をまつる霊廟であり、その変遷は朝鮮王朝の歴史そのもの ともいえる。当時の儒教知識人たちが繰り広げた宗廟の祭祀をめぐる議論を紹介しながら、その 背景にある儒教思想の本質にせまり、王位継承者の選定から知識人の党争まで――あらまし五百 年におよぶ王朝国家の実像をあぶりだす。歴史にたち現れる朝鮮民族の姿とは。
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『人種神話を解体する1 可視性と不可視性のはざまで』
斉藤 綾子・竹沢 泰子(編) 2011年から取り組んできた国際・学際的共同研究「人種表象の日本型グローバル研究」プロジェクトの成果を示す「人種神話を解体する」全3巻シリーズの第1巻。本来見えるはずのない人々の差異は、歴史・社会的にどのように徴づけられてきたのか。見えない人種が創られていく現場に、近代史と現代、日本とアジア・ヨーロッパ・アメリカの事例から切り込む
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『人種神話を解体する2 科学と社会の知』
坂野 徹・竹沢 泰子(編) 「人種神話を解体する」シリーズの第2巻。人種主義は無知の所産ではなく、科学を含む知こそが人種主義を駆動してきたとはいえないか――。近代知における考古学・人類学・医療の再考から、最近のゲノム研究が私たちに要求するヒトの差異の認識の現在まで、“人種という知”の歴史と現在を問う。
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『人種神話を解体する3 「血」の政治学を越えて』
川島 浩平・竹沢 泰子(編) 「人種神話を解体する」シリーズの第3巻。複数のルーツをもつ人びとは称揚と差別のもと「何者」として社会に位置づけられるのか。また、彼らは当事者としてどのような葛藤・交渉を経ながら自らの生き方を模索しているのか。アイヌ、沖縄、在日外国人、「ハーフ」の歴史と現在に迫る。
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『Trans-Pacific Japanese American Studies: Conversations on Race and Racializations』
Editor: Takezawa, Yasuko; Okihiro, Gary Y. Trans-Pacific Japanese American Studies is a unique collection of essays derived from a series of dialogues held in Tokyo, Kyoto, and Los Angeles on the issues of racializations, gender, communities, and the positionalities of scholars involved in Japanese American studies. Bringing together some of the most renowned scholars of the discipline in Japan and North America, the book seeks to overcome past constraints of dialogues between Japan- and U.S.-based scholars by providing opportunities for candid, extended conversations among its contributors.
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『食べること考えること』
藤原 辰史(著) ナチス・ドイツ、あるいはや明治時代の貧民窟で食べられていたものは? 原発とTPPで揺れる日本の食の未来は? 歴史の細部から新しい物語をつむぎだし、エネルギー、生命倫理、生活文化をめぐってわたしたちに共考をうながす多彩なテクストを集成しました。
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『フェティシズム研究2 越境するモノ』
田中 雅一(編) 近代は「未開」のモノ崇拝を「フェティシズム」と呼んで切断した。それが,近代社会に刻印されたモノの呪いの始まりであった 。モノをめぐる固着した植民地的関係の相対化を図りながら,「信仰」「蒐集」をキーワードに,領域と地域を軽やかに越境するモノの呪力に迫る。ヒトと身体とモノの目くるめく交歓を描くシリーズ第2巻。
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『露出せよ、と現代文明は言う』
立木 康介(著) マス・メディアが芸能人や一般人の「告白」を四六時中垂れ流し、携帯電話によってどんな公的な場所にも個人の私的空間がやすやすと持ちこまれ、ブログと呼ばれる半透明な媒体に私生活のよしなし事が無造作に綴られ、常軌を逸した犯罪が世間を震撼させるたびに加害者の「心理的動機」とやらが一斉に暴き立てられる現代。そこでは、表象の死、メタファーの消滅、神経症の衰退、詩の凋落、思考=思想の弱体化が同時に進行している。このことは、現代の精神病理にどのように映し出されているのだろうか。それは私たちの「症状」をどのように変化させつつあるのだろうか。そしてこの変化はいかなる実質を伴っているのだろうか。本書は、これらの問いにたいする、ラカン派精神分析からの回答の試みである。
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『近代日本の歴史都市 古都と城下町』
高木 博志(編著) 昨今、世界遺産登録など、空前の「古都」ブームであるが、そもそも「古都」とは近代に生み出された概念であり、あらためて「古都」を相対化した学問研究が求められている。本書は「都市の歴史性」をキーワードに、京都・奈良・伊勢など天皇制と関わった都市である「古都」、金沢・仙台・岡山・尼崎・三都などの「城下町」を対象に、歴史学を中心に建築史・造園史・美術史など分野を超えた研究者が参加した共同研究「近代古都研究」班(2006~2011年、代表高木博志)の成果である。
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『二十世纪中国的社会与文化』
石川 禎浩(著),袁 広泉(訳) 本书以社会主义思想在20世纪初传入中国直至今日的约100年为尺度,应用史学方法,从思想、文化、政治等方面对中国的社会主义文化现象进行探究。此外,清末及民国时期对社会主义的认识、1930年代的左翼文化、延安时期的文艺政策、共和国时期学术领域及学术规范的改变等,也与社会主义文化具有密切关系,变在本书之列。
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『海の近代中国 福建人の活動とイギリス・清朝』
村上 衛(著) 貿易、海賊・海難、移民など、清末中国の 「海の歴史」 に注目し、福建人の活動とイギリスの役割を焦点に、漢文・英文史料を博捜することで、アヘン戦争の再定義を含め、中国を新たな時代へと突き動かした力を多角的に明らかにする。海と陸、近世と近代を接続し、歴史像を刷新した労作。
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『The Formation of the Chinese Communist Party』
Ishikawa Yoshihiro Official Chinese narratives recounting the rise of the Chinese Communist Party (CCP) tend to minimize the movement’s international associations. Conducting careful readings and translations of recently released documents in Russian, Japanese, and Chinese, Ishikawa Yoshihiro builds a portrait of the party’s multifaceted character, revealing the provocative influences that shaped the movement and the ideologies of its competitors.
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『ナチス・ドイツの有機農業〔新装版〕』-〈自然との共生〉が生んだ〈民族の絶滅〉- 』
藤原 辰史(著) ナチスの農本主義とシュタイナー農法は、反発と接近を繰り返しながらファシズム時代を共有した。〈自然との共生〉はなぜ〈民族の抹殺〉に至ったか。エコロジーに潜む危険性をナチスの農業政策に読む。
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『稲の大東亜共栄圏 352(帝国日本の〈緑の革命〉)』
藤原 辰史(著) 稲の品種改良を行ない植民地での増産を推進した「帝国」日本。台湾・朝鮮などでの植民地支配の実態と生態学的帝国主義の歴史を解明。
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『ナチスのキッチン』
藤原 辰史(著) ナチスによる空前の支配体制下で、人間と食をめぐる関係には何が生じたのか?システムキッチン、家事労働から、食材、そしてエネルギーにいたるまで、台所という《戦場》の超克を試みた、来るべき時代への《希望の原理》。新発見の事実や貴重なレシピをはじめ、未刊行資料・図版などを多数収録。
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『韓国・朝鮮史の系譜』
矢木 毅(著) 多くの民族・国家が接触・融合を繰り広げた、東アジアの多元的な世界像の構築を試みる。国境線が定まる以前のさまざまな国家や民族の興亡をとおして、今日の韓国・朝鮮につながる「民族」や「領域」についての意識の形成過程を描きだす。
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『楽都ウィーンの光と陰 比類なきオーケストラのたどった道』
岡田暁生(著) 毎年、元旦夜(日本時間)のニューイヤー・コンサート中継で知られるウィーン・フィル。2012年も世界約70のテレビ局で視聴され、知名度、人気とも世界一といって過言ではない。その黄金の響きを生み出した歴史的背景をたどると、単なるオーケストラの成り立ちだけではなく、ウィーンという街の表と裏の文化史が浮き彫りとなってくる。
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『先秦時代の領域支配(プリミエ・コレクション)』
土口 史記(著) 中国の郡県制は秦漢時代に成立し、先秦時代の領域支配はその発達段階と従来は考えられてきた。本書は、1987年に出土した包山楚簡を詳細に分析し、秦漢時代の郡県制とは性質の異なる領域支配の存在を明らかにし、同時にこの支配形態がいわゆる郡県制に変容していくその過程をさまざまな史料を駆使しながらたどっていく。
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『カブラの冬(第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆)』
藤原 辰史(著) 第一次世界大戦期ドイツ。イギリスの経済封鎖は76万の餓死者を生んだ。食糧戦争としての大戦を描く。
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『ツェルニー ピアノ演奏の基礎』
岡田暁生(著) 落日しつつある西洋社会の閉塞感のなかに胚胎し、続く大戦経験がもたらした表現とは? 前衛芸術、録音メディアの登場、ジャズの熱狂、音楽の国有化—-音楽史の切断面への試論。
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『シリーズ中国近現代史③ 革命とナショナリズム 1925-1945』
石川 禎浩(著) 協力と対立を繰り返しながら,日本の侵略に立ち向かい,中国を大きく変えていった国民党と共産党.このふたつの政党を主人公として,ソ連との関係や運動の実際などにも目を配りながら,革命とナショナリズムに彩られたイデオロギーの時代を描き出す.孫文の死から抗日戦争の終結までの激動の20年.
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『「クラシック音楽」はいつ終わったのか?』
岡田暁生(著) 落日しつつある西洋社会の閉塞感のなかに胚胎し、続く大戦経験がもたらした表現とは? 前衛芸術、録音メディアの登場、ジャズの熱狂、音楽の国有化—-音楽史の切断面への試論。
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『高僧伝(四)』
慧皎(著)吉川 忠夫,船山 徹(訳) 後漢から六朝に至る高僧約500人の事績を集成した中国仏教史の基本文献.本冊には,習禅,明律(みょうりつ),亡身(もうしん),誦経(ずきょう),興福,経師(きょうし),唱導の七篇に,禅定・仏教音楽・説教に優れた沙門,仏恩に報いるため身を犠牲にした沙門,寺院の建立に尽力した沙門等の記録を収める.索引(人名・書名・寺名)を付す.(全4冊完結)
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『徴兵制と良心的兵役拒否』
小関 隆(著) 第一次大戦下のイギリス徴兵制の導入と運用の経緯をたどりながら、良心的兵役拒否者たちの葛藤を描き出す。人文研アカデミーの連続講義を基にした「レクチャー 第一次世界大戦を考える」シリーズの1冊。
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『三国志演義の世界(増補版)』
金 文京(著) 物語としての『三国志演義』は、いかに作られたのか。正史『三国志』に基づいた史実と、フィクションを交えた叙述のスタイルを分析する。さらに唐代以前から明清代にいたる『演義』の成立事情、謎につつまれた作者羅貫中の人物像、関羽・劉備・張飛ら登場人物のキャラクターの変遷など、奥深い作品世界を案内する。後半では、『演義』の研究にも大きな影響を与えた民間伝承『花関索伝』、明清代の書坊による出版戦争、『演義』に反映された正統論や五行思想など、物語の背後にある文化や世界観も描き出す。本「増補版」では、初版から十七年を経た研究の進展を随所に反映させるとともに、日本と韓国における『演義』受容の様相を第九章として新たに加えた。
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『カントの人間学』
Foucault,Michel(著),王寺 賢太(訳) 人間とは何か?それは神と宇宙を媒介する第三の形象なのか?日常的な「世界=世間」のなかで主体はなぜ逸脱し、失調するのか?十八世紀末にカントが発した問いを、若きフーコーが、ハイデガーに抗して解き明かす。散逸を肯定せよ!フーコー哲学の原点ともいうべき書物が、半世紀の時をへて、ここにヴェールを脱ぐ。
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『高僧伝(三)』
慧皎(著)吉川 忠夫,船山 徹(訳) 中国仏教史の基本文献『高僧伝』初の全和訳.後漢から六朝に至る高僧約500人の事績を集成した本書は,後の各種「高僧伝」の範となった.本冊には,竺道生(じくどうしょう)など教理に精通し中国仏教の基礎を固めた沙門(義解(ぎげ)篇四,五),および病気治癒などの不思議な行状で知られる仏図澄(ぶっとちょう)その他の沙門(神異(じんい)篇上下)の記録を収める.(全4冊)
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『高僧伝(二)』
慧皎(著)吉川 忠夫,船山 徹(訳) 中国仏教史の基本文献『高僧伝』初の全和訳.評判の高い僧ではなく徳の高い僧について記すという方針の下,後漢から六朝に至る高僧約五百名の事績を集成した本書は,後の各種「高僧伝」の範となった.本冊には晋の道安や廬山の慧遠など,仏典を整備し,中国仏教の基礎を固めた沙門を録した「義解篇」三編を収める.(全四冊)
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『帝国とアジア・ネットワーク―長期の19世紀』
籠谷 直人・脇村 孝平(編) ヨーロッパ帝国主義のもとでダイナミックに展開したアジアの商業的ネットワークに光を当て、18世紀から20世紀にまたがる「長期の19世紀」の枠組みを提示する。中国とインド、二つの大国をつなぐ広域経済史を通して、アジアを見直す試み。
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『高僧伝(一)』
慧皎(著)吉川 忠夫,船山 徹(訳) 中国仏教史の基本資料『高僧伝』初の全和訳.後漢時代に伝来した仏教は六朝期に至って隆盛を極めた.梁の慧皎は,最初期450年間の高僧約500人の事績を集成(本伝257人・付伝200余人).訳経・義解・神異・習禅・亡身・誦経・興福・経師・唱導・明律の10部の内,本冊には鳩摩羅什(くまらじゅう)・法顕(ほっけん)などを扱う訳経篇,及び訳者解説を収める.(全4冊)
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『音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉』
岡田暁生(著) 音楽の聴き方は、誰に言われるまでもなく全く自由だ。しかし、誰かからの影響や何らかの傾向なしに聴くこともまた不可能である。それならば、自分はどんな聴き方をしているのかについて自覚的になってみようというのが、本書の狙いである。聴き方の「型」を知り、自分の感じたことを言葉にしてみるだけで、どれほど世界が広がって見えることか。規則なき規則を考えるためにはどうすればよいかの道筋を示す。
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『人種の表象と社会的リアリティ』
竹沢 泰子(編) ~人種のリアリティはなぜ生みだされるのか~
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『フェティシズム研究1 フェティシズム論の系譜と展望』
田中 雅一(編) 無生物である「モノ」が人へとはたらきかける??「人とモノと身体」の相互関係をフェティシズム概念から斬るシリーズ、第1巻は理論編。宗教、経済、精神分析・性におけるフェティシズム概念、フェティッシュを考える上で無視できないモノ研究、そしてこうした理論的研究がわれわれにもたらす展望、この3部から問う。
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『ピアニストになりたい! 19世紀 もうひとつの音楽史』
岡田暁生(著) 世俗超越の精神性をあれほど重んじた「ロマン派の世紀」は、同時に、「これさえやれば誰でもできる」と謳った膨大な数のマニュアル(バイエル、ハノン、ツェルニー)、大リーグボール養成ギプスばりの手指強化器具、大人数を同時に教えるスパルタ音楽教室などが続々と生まれた時代でもあった。
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『CD&DVD51で語る 西洋音楽史』
岡田暁生(著) グレゴリオ聖歌からハリウッド映画音楽まで―― 作品や史実のみならず、斬新な切り口で作曲家、指揮者、 演奏家をも語る。新たな視点からの西洋音楽史入門!
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『近代京都研究』
丸山 宏・伊從 勉・高木 博志(編) 本書は、丸山宏・客員教授を班長とする「近代京都研究」班(2003~2005年度)の共同研究の成果として刊行した。「近代の歴史都市としての京都」について、特殊性と普遍性を射程に入れ、歴史学・建築学・美術史・造園史・地理学などから総合的に論じた。京都における、歴史・「伝統」といった蓄積された前近代からの「遺産」と、それを前提とした近代における都市・風景・文化・政治・学知の展開に向き合った(20篇の論文からなる)。なおさきに一般向けの読み物として、2002年11月から2年間にわたる『京都新聞』への連載をもとに、『みやこの近代』(思文閣出版)を刊行した。
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『恋愛哲学者モーツァルト』
岡田暁生(著) 時はフランス革命前夜――。絶対王政の没落と近代市民社会の到来という時代の亀裂のなかでこそ、モーツァルト・オペラは華ひらいた。バロック・オペラの予定調和的な世界を破壊し、男と女のエロスを歌った。「後宮」から「魔笛」に至る傑作群を「恋愛哲学五部作」として読み解く、新たな音楽=文化論。オペラ嫌いも必読!
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『みやこの近代』
丸山 宏・伊從 勉・高木 博志(編)
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『キーボード配列QWERTYの謎』
安岡 孝一・安岡 素子(著) コンピュータのキーボードは、どうしてあんな不思議な順番に並んでいるのだろう。
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『記念日の創造』
小関 隆(編) 序論 記念日と記念行事をめぐる抗争 小関 隆、 記憶を造形する命日―ベンジャミン・ディズレイリとプリムローズ 小関 隆、大地に軍隊を捧げた日―ナチスの収穫感謝祭 藤原辰史、中国の祭日と死者を巡る物語り 佐野誠子、思い出せない日付―中国共産党の記念日 石川禎浩
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『憲法9条の思想水脈』
山室 信一(著)
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『身体技法と社会学的認識』
倉島 哲(著) 「技を身に付ける」とはどういうことか? ブルデューの実践理論、エスノメソドロジー、状況的学習論、わざ言語論、暗黙知理論、モースの身体技法論……社会学的身体論を整理。その成果を、四年間にわたる武術教室のフィールドワークで実証。
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『プリムローズ・リーグの時代 ―世紀転換期イギリスの保守主義―』
小関 隆(著) イギリス史上初めて労働者が有権者の過半に達した一八八〇年代の選挙法改正後、大方の予想を裏切り到来したのは、二〇年にわたる未曾有の保守黄金時代であった。労働者たちは、なぜ、いかにしてコンサヴァティズムへと組織・動員されたのか―欲望の肯定、悪漢の設定、女性層の開拓―一世を風靡した政治団体プリムローズ・リーグの巧みな手法と論理に迫る。
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『運命論者ジャックとその主人』
ドニ ディドロ(著), Denis Diderot(原著), 王寺 賢太(翻訳), 田口 卓臣(翻訳)
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『ミクロ人類学の実践―エイジェンシー/ネットワーク/身体』
田中 雅一(編集), 松田 素二(編集) 「技を身に付ける」とはどういうことか? ブルデューの実践理論、エスノメソドロジー、状況的学習論、わざ言語論、暗黙知理論、モースの身体技法論……社会学的身体論を整理。その成果を、四年間にわたる武術教室のフィールドワークで実証。
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『近代天皇制と古都』
高木 博志(著) 近代天皇制と古都(奈良・京都)の形成とは両者不可分であった。それは近代に創り出された天皇制の核心は、「万世一系」の国体にあり、それを歴史的、文化的に顕現する空間として古都が創造されたゆえである。こうした問題意識から、近代における神話的古代(畝傍山・神武陵・橿原神宮)の空間形成、陵墓と正倉院御物の整備、近世の京都御所の開放性や観光スポットとしてのあり方とその近代における変化、「国風文化」や「安土桃山文化」としての京都イメージの形成、世界遺産に「仁徳天皇陵」が登録されない皇室用財産のあり方、継体天皇陵の間違った治定への過程、桜とナショナリズム、といったテーマ群を論じた。
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『中国古典小説選2 捜神記・幽明録・異苑他<六朝I>』
佐野 誠子(著) 竹田 晃・黒田 真美子(編) 中国古典小説選の一巻として、六朝時代に書かれた志怪と呼ばれる、怪しいモノやコトを記した書籍から、 怪異、妖怪、鬼神等テーマ別に作品を選び、原文、書き下し文、現代語訳、語注を施す。六朝志怪の世界が一冊で味わえるようになっている。
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『近世畿内・近国支配の構造』
岩城 卓二(著) 幕府広域支配、個別領主権力、民衆の3者を連関させ、従来の非領国論、幕府領国論、支配国論を超えた新たな支配論を提示。軍事拠点としての大坂城守衛を担った尼崎藩に着眼し、幕藩権力による畿内・近国支配の実像に迫る。
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『日仏交感の近代』
宇佐美 斉(編) 明治期以来のフランス象徴詩のインパクト、パリ画壇を襲ったジャポニスムの衝撃――文学をはじめ、美術・音楽などの諸分野で色濃い日仏交感が行われてきた。江戸末期から昭和初期にかけて、それぞれの近代化を促進した二つの文化のアイデンテティ形成にとっての「交感」の意味を、豊富な作品事例、作家の創作意図などを分析することにより論じる。
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『The State in India : Past and Present』
edited by Masaaki Kimura and Akio Tanabe “Is the state today an offshoot of the pre-colonial Indian state or was it introduced by British colonial rule-This volume reviews critical questions about the emergence of the state in India from ancient times to the modern period. It discusses its role, form, and evolution taking into account various approaches and points of view.
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『Manchuria Under Japanese Dominion』
Yamamuro Shin’ichi. Joshua A. Fogel, Translator Translator’s Preface Introduction
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『文字符号の歴史(欧米と日本編)』
安岡 孝一(著), 安岡 素子(著) 文字符号―あるいは文字コードといったほうが通りがいいかもしれない―を論じた書籍やWWWページを見ていると、どうも気になることがある。文字符号の現在の姿しか知らず、それがどのように発展してきたかを理解していない論者が、まま見られることである。とくに、文字符号の批評あるいは批判ともなれば、その文字符号の成立過程やそれ以前の文字符号との関係が重要な論拠となるはずであり、当時の文献の参照は必須のはずである。が、それが満足になされていない。その結果、現在の文字符号の姿をそのまま過去にあてはめてしまうという、トンでもない暴論がまかり通ってしまうのである。
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『Dislocating Nation-States』
edited by Patricio N. Abinales, Noboru Ishikawa & Akio Tanabe ・Engages debates on the relevance of nation-states by focussing on areas where state formation is still ongoing
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『西洋音楽史 「クラシック」の黄昏』
岡田暁生(著) 一八世紀後半から二〇世紀前半にいたる西洋音楽史は、芸術音楽と娯楽音楽の分裂のプロセスであった。この時期の音楽が一般に「クラシック音楽」の歴史と呼ばれている。本書は、「クラシック」音楽の歴史と、その前史である中世、ルネサンス、バロックで何が用意されたのか、そして、「クラシック後」には何がどう変質したのかを大胆に位置づける試みである。音楽史という大河を一望の下に眺めわたす。
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『21世紀後半の世界の言語はどうなるのか 情報化・国際化のなかの言語』
「二一世紀後半の言語」シンポジウム企画班(池田巧ほか)
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『身体論のすすめ』(京大人気講義シリーズ)
共同研究班「身体の近代」・菊地 暁(編) 誰もが一つずつもつ、にもかかわらず、誰一人として同じでない「身体」。その「身体」という契機によって、私たちが繰り返し問い続けるに値する根底的な「問い」を、その根っこからラディカルに確認すること――それが本書のめざすところである。美術、音楽、宗教、天皇制、学校、労働、医学、生物学…11人の論者が掘り下げたその「問い」は、ときに補いあい、ときに重なりあい、ときに呼びかけあい、ときに打ち消しあう。だから、本書に「答え」は、ない。本書が指し示すものは、あくまで「入り口」、そしてそこから続く果てしない知的探求への「予感」だけだ。
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『シャンドール ピアノ教本 身体・音・表現』
G.シャンドール(著)、岡田暁生(監)(訳) 稀代のヴィルトゥオーソが指奏法・重量奏法の誤りを明快に指摘、指~腕の動きを効率的にコーディネートする「5つの基本動作」を提唱。現代ピアノ奏法の決定版。図版150点。
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『ナチス・ドイツの有機農業 -「自然との共生」が生んだ「民族の絶滅」』
藤原 辰史(著 ナチス農本主義と有機農法の源流であるシュタイナー農法は、反発と歩み寄りを繰り返しながらファシズムの時代を共有した。「自然保護法」や「動物保護法」を定め有機農業の実験を進めた生命共生国家は、なぜホロコーストに行き着いたのか。ナチス農業の指導者リヒャルト・ヴァルター・ダレーらのエコロジカルな言説を分析しながら、エコロジーに潜む危険性と可能性をナチ農政から考える。
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『人種概念の普遍性を問う -西洋的パラダイムを越えて』
竹沢 泰子(編) 新たな共通語としての人種概念をめぐり、その歴史的検証と包括的理解に向けて 人文科学と自然科学の研究者が初めて協働した画期的成果。圧倒的な欧米ヘゲモニーがもたらす狭隘な人種理解にたいし 日本、アジア、アフリカから、地域を越えた強烈なオルタナティヴを提示する。
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『ジェンダーで学ぶ文化人類学』
田中 雅一・中谷 文美(編) 世の中は男と女から成り立っている、というのは本当だろうか。世界には、女性と女性とが結婚する社会もある。常識を疑い、さまざまな文化から学んでみよう。ジェンダーとセクシュアリティの視点から世界をとらえなおすための斬新なテクスト。
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『三国志の世界(後漢 三国時代)』
金 文京(著) 流浪の英雄、蜀の劉備。中国詩文に一時代を画した魏王・曹操。老獪な現実主義者、呉の孫権。そして朝鮮半島・邪馬台国をめぐる国際関係。小説『三国志演義』を手がかりに東アジアの戦乱と外交を解き明かし、華麗なる大抗争の実像に迫る。
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『生活の中の植民地主義』
水野 直樹(編) 国、台湾そして日本の日常生活に隠されている植民地主義の痕跡をやさしく明かす 韓国、台湾そして私たちの生活の中に、たしかな痕跡を残す植民地主義。初詣や命名の習慣、戸籍制度、慣行としての身体測定、体操などなど、いわば身体に刻み込まれた植民地主義を目に見えるものにする試み。伝統的な習俗と思われている初詣と日の丸・君が代との関係、いわゆる創氏改名と戸籍制度の知られざる謎など、これまでの植民主義をめぐる議論に一石を投じる内容。毎年夏に一般視聴者を対象におこなわれてきた夏季公開講座をもとに構成した、入門書
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『Gender and Modernity』
Akio Tanabe, Yoko Hayami & Yumiko Tokita Drawing on a wealth of ethnographic fieldwork, this anthology examines the complexities of identity formation and self-positioning in post-colonial contexts, ranging from the impact of Christian missionaries on the women of Aboriginal Australia to the re-masculinisation of post-colonial subjects in eastern India, from the negotiation of gendered spaces in Indonesia and Thailand to the ways in which Japanese popular culture ‘plays’ with gender identities. Focusing in particular on the negotiation of gender categories, these contributions reveal that local actors are confronted with these competing values and rationalities of local traditions and global modernity.
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『ピアノを弾く身体』
岡田暁生(監)、伊東信宏,近藤秀樹,大久保賢,小岩信治,大地宏子,筒井はる香(著) 鍵盤に触れる指、身体全体に共鳴する響き。官能的なほどの快感こそが演奏者と聴き手を共に音楽の愉楽へ誘う。演奏する身体を介して実践と研究を繋ぐ新しい音楽学を目指す。
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『オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」』
岡田暁生(著) オペラ――この総合芸術は特定の時代、地域、社会階層、そしてそれらが醸し出す特有の雰囲気ときわめて密接に結びついている。オペラはどのように勃興し、隆盛をきわめ、そして衰退したのか。それを解く鍵は、貴族社会の残照と市民社会の熱気とが奇跡的に融合していた十九世紀の劇場という「場」にある。本書は、あまたの作品と、その上演・受容形態をとりあげながら「オペラ的な場」の興亡をたどる野心的な試みである。
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『〈バラの騎士〉の夢 リヒャルト・シュトラウスとオペラの変容』
岡田暁生(著) オペラは終わった? 芸術性と娯楽性を兼ね備えた最後の大ヒット・オペラ《バラの騎士》を軸に、ポスト・ワーグナーから無調に至る20世紀初頭の音楽文化の変貌を自在に描く。
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