絵画修復への寄付

東日本大震災への対応

東アジア近世の地域をつなぐ関係と媒介者

班長 岩井 茂樹

近年の中国の経済的・政治的抬頭は,東アジアのみならず世界秩序全体の構造変化を促す大きな要因である。これにともない,過去の東アジアにおける諸国家および諸地域間の関係と秩序がどのようなものであり,それをいかに評価すべきかという問題に歴史学は大きな関心を寄せるようになった。19世紀中葉まで,中国の「天朝の秩序論理」が地域間関係が具体的に形成されるうえでさまざまな影響を及ぼすと同時に,地域間の物流に依存する個人や集団が政治外交の担い手とは異なった固有の利害状況にもとづいて、秩序形成に関与してきた。国家の立場から表出される政治外交的な利害と,地域間媒介者の立場から表出される個別的・私的な利害との間の対立や協調に着目することによって,地域のあいだに結ばれる関係の形成過程と,そこにはたらく論理とについて理解を深めることを,この共同研究の目的とする。

班員
矢木毅、宮宅潔、村上衛、山﨑岳、高井たかね