上海博物館蔵戦国竹書を読む-中国古代の基礎史料

浅原 達郎

上海博物館蔵戦国竹書を読む-中国古代の基礎史料
清霤亭
研究班の会合は,2008年度より,ここ清霤亭で行っている。居心地は悪くないが,手狭で,現在の参加者数が限度である。肩を寄せ合いながら勉強している。「清霤亭」の名は,当初雨漏りがしたことにちなむ。

2004年4月に,「中国古代の基礎史料」共同研究班として発足した。中国古代,なかでも先秦時代の研究を志す学生のために,基礎的な学力を磨く場を提供する,というのが主旨であり,とくに達成すべき目標を設定せず,地道に史料を読んでいくことを心がけている。便宜的に3年という期間を定め,2004年4月から2007年3月までは,単に「中国古代の基礎史料」班,2007年4月から2010年3月までは,これに「銀雀山漢墓竹書残簡の整理」というテーマを付けた。しかし,テーマにしばられることなく,そのときの情況に応じて,読むべきものを読んでいくので,班員たちは,ずっと同じ研究班が続いているという気持ちでいる。2010年4月からは「上海博物館蔵戦国竹書を読む」というテーマを掲げるが,同じように進めていくつもりである。ただ,これまでもっとも力を入れて読んできたのが,戦国時代の竹簡である。しばらくはその情況は変わらないと思われるから,テーマから大きく逸脱することにはならないだろう。

毎回の学習の記録を,班長が簡単にまとめて,インターネット上で公開している。さらにある程度まとまったところで,読書札記(読書ノート)を作成している。札記を含めた研究班の成果を公開するために,『曰古』という冊子を刊行し,現在その第15号を準備中である。ただし,読書札記の作成は大きく遅れており,だいたい二年前くらいに読んだものの記録を,班長が苦しみながら執筆しているのが現状である。もう一度新たに読みなおすのと,ほとんど変わりない。ところがそのおかげで,札記の質が向上して,成果の名にふさわしい充実したものとなっている。仕事が遅れることにも,意味がないではないらしい。

新規班員をいかに得るかが課題だったが,2009年度には,2名の新人を受け入れた。現在,毎週の会合の常時参加者が,7名。ほぼ適正な規模であろう。