近代日本と異文化接触 -「同時代化」を生きた人々の記録

班長 ヴィータ, シルヴィオ

近代日本と異文化接触 -「同時代化」を生きた人々の記録
万博を初めて見る日本
文久使節団が1862年の第二回ロンドン万博博覧会を視察する(The Illustrated London News より)

19 世紀以降、旅行、在日勤務、長期出張などの目的で日本を訪れた外国人が、多くの記録資料を書き残したことが知られている。それらは当時、様々な形で読まれたものであるし、日本においては現在も読まれ続けている。ただし、それらの資料の総体を整理分類し、多面的なアプローチによって分析するという作業は十分に行われているとは言い難い。この点に貢献することが、本研究班の主旨である。年代的に言えば19 世紀の半ばから20 世紀半ばまでの約百年間、いわゆる「長い19 世紀」を対象とし、その期間を通じて、世界の中で近代日本がいかにして形成されていったのかを検討してみたい。

日本について書かれた諸資料を読むにあたっては、様々な側面を考慮する必要がある。近代日本と外の世界との関わりはもちろんのこと、日本という存在がそれぞれの国の知識人や大衆の文化の中でどのような位置を占めたのか、そしてまた日本を訪れて記録を残した人々が、そのような日本の位置づけにどういう形で関わっていたかという点などである。本研究班では、それらを念頭に置きつつも、上述の諸資料を「近代日本の記録」として読むことを基本とする。ただ同時に、近年、文化史研究において意識されている、「見る」行為、「見る」側の立場によるアプローチや内容の差異、という点にも注意をしておきたい。

本研究班のもう一つの目的は、同種の資料を専門とする、あるいは関心を持つ、国内外の研究者を招くことにより、研究ネットワークおよび研究者ネットワークを構築することである。研究班を通じて整理分析された資料を、研究資源としてそのようなネットワークの中に置き、活用していくことで、「外から見た近代日本の記録」研究の成果を、再度「外」へ向けてフィードバックすることが可能となるだろう。


班員
田中雅一、稲葉 穣、小池郁子、ジャケ・ブノワ
【所外】岩倉具忠、岩倉翔子、佐野真由子、谷口陽子、ベルテッリ・ジュリオ