日本・アジアにおける差異の表象

班長 竹沢泰子

人種表象の日本型グローバル研究
分野横断的・地域横断的に人種の表象と社会的リアリティについて共同研究を行っている。
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本研究会は、人種の表象と社会的リアリティについて、とくに日本・アジアに焦点を当てて考察するものである。人文科学のみならず自然科学をも射程に含め、分野横断的な研究体制をとる。班員は、歴史学、社会学、文化人類学、美術史、科学史、生命科学などのさまざまな領域の専門家によって構成されている。

人種は、概念としては生物学的実体がないことが近年の遺伝学研究などで明らかにされているが、医療、社会制度、美意識にいたるまで、強固に社会的リアリティをもっている。何がどのようにこのようなリアリティを生み出し維持させているのだろうか。その鍵を表象に求め、そのしくみに光を投じることが本研究の狙いである。

欧米の人種表象の研究では、視覚的な表象に関しては膨大な研究の蓄積が存在するが、日本やアジアにみられる「見えない人種」についての、非視覚的な表象にかんしては研究例が多いとは言えない。「汚い」「臭い」「怖い」といった生活感覚で語られる差異。非可視的でありながら、強固に語られ続ける「穢れ」「血が違う」などの言説。日本や東アジアなどの地域に顕著に見られる、こうした「見えない人種」の社会的リアリティを創り出す表象のしくみを炙り出すことに重点をおきたい。 本研究会は、これまでの共同研究で発表してきた理論的枠組みが土台となっている。これまでの共同研究の成果として、『人種の表象と社会的リアリティ』(竹沢泰子編 岩波書店 2009年)、『人種概念の普遍性を問う』(竹沢泰子編 人文書院 2006年)、『人文学報』「特集 差異の表象」100号、2010年5月刊行予定、『第12回京都大学国際シンポジウム 変化する人種イメージー表象から考える』(竹沢泰子編 京都大学 2009年)、京都大学オープンコースウェア「人種の表象とリアリティ」「人種概念の総合的理解」などがある。


所内班員
石井 美保、高階 絵里加、瀬戸口 明久、舟橋 健太